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コンサート・ホール・ソサエティ・レーベルのこと

 1〜2か月前になりますが、日本メール・オーダーによるコンサート・ホール・ソサエティ・レーベルのCDが約十数枚まとめて入荷。少しずつ出品しましたが、すべて売れました。しかもほとんどが出品してすぐという人気ぶり。
 たとえば、シェエラザード オッテルロー指揮 ウィーン音楽祭o
 ドリーブ:コッペリア,シルヴィア 他 ゲール指揮 コンセール ドゥ パリo
 ラヴェル管弦楽曲集 ル ルー指揮 フランス国立放送o
 グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲 他 オドノポソフ(vn)
 ラロ:スペン交響曲 他 フェラス(vn) などなど。

 

 同レーベルの録音は、日本ではCD時代初期からコロムビアから発売されていましたし、近年も海外盤で 演奏家別にまとめたセットものが発売されていました。
 しかしシューリヒトとかリリー・クラウス、モントゥー、ミュンシュ、ペルルミュテールなど一部の人気演奏家に限られているんですね。
 ワルター・ゲール、ハンス・スワロフスキー、ピエール・デルヴォー、ミシェル・コント、モーリス・ル ルー、デイヴィッド・ジョゼフォヴィッツなどというところはなかなか復刻されない。
 日本メール・オーダーのCDシリーズは、オリジナルを尊重せず、組み合わせを大胆に変更した、オールドファンからすれば何ともむごたらしいカップリングでしたが、それでも珍しい録音、ユニークな演奏が聞けるということで貴重でした。

 

 そもそもコンサート・ホール・ソサエティはアメリカの通販の会社。
 WIKIPEDIAによると創立は1946年とのこと。国内盤は1962年 日本メール・オーダーと提携し 販売を始めたとあります。
 どういうシステムで販売していたのか以前から疑問に感じていましたが、先日、その昔 会員で実際に購入していたというお客様からお話をうかがうことができました。

 そのかたは現在74歳。中学から高校生の頃ということですから約60年前。まさしく1960年代ですね。
 会員になると毎月 小冊子が送られてきて、発売されるレコードの紹介があり、購入する場合はほおっておく、不要な場合は添付された葉書にその旨書き、返送するというシステムだったとのことです。

 

 以下 箇条書きで。
 ・1年で最低4, 5枚は購入するという条件。
 ・小冊子には今月のレコード以外にもいろんなレコードを紹介しており、希望の商品があれば購入可能。
 ・後払いで、1枚1500円から2000円くらい。
 ・クラシックのほかシャンソン、ジャズ、民族音楽等あり。17センチ盤、25センチ盤もあって、それらは300円くらいからあった。
 ・もう1枚プラスするといくらになるとか様々なかたちの割引きがあった。
 ・「ACCディスク大賞受賞」とかそういう売り文句が踊っていた。

 

 60年も前のことですから少なからず推量の形で書かれておられましたが、おおよそのことを知ることができますね。
 1960年代ですから近所にレコード店がない地方の音楽ファンには特に重宝されたことと思います。

 

 1970年くらいには小冊子をパッタリと送ってこなくなったものの、CD時代となると突如 CDの頒布が始まり、これもまたいつの間にかパッタリとなくなったとのことです。
 モータリゼイションなどの発達でメジャー・レーベルのレコード, CDが買いやすくなったこと、あるいは録音があまりよくなかったことなどから商売にならなかったのでしょう。
 しかしCD時代でも利用された方がおられたから、こうして中古CDで聞くことができるわけです。

 とはいえCD化されているのはほんの一部。コンサート・ホール・ソサエティは膨大な数の音源があります (原盤が今も適切に保管されているのかはわかりませんが…)。音質がよくないのは残念ですが、それでもマイナー演奏家の録音を復刻してくれる会社が現れることを期待したいところです。

 

 …なんてほとんど無理ですね。
 かつて日本のウェストミンスターのCD復刻シリーズに掲載されていたバドゥラ- スコダのインタビューを思い出しました。バドゥラ- スコダは復刻されたラインナップを見て、当時 評判になったあれがない これがないと残念がっていたのです。日本で復刻されるものは、レオポルド・ウラッハをはじめとする往年のウィーンの音色に偏っていることを思い知りました。
 CD化が確実に売れそうな名演奏家の音源の復刻に偏るのも当然なんですよね。

author:zarathustra4, category:ongaku-kan, 17:52
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