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♪Questo♪Momento♪ 第11番「慈愛、鏡写しの小さな高揚」
 バッハとヘンデル。
 ともにバロック後期 同時代の、ドイツ出身の偉大な作曲家ふたりは、大変対照的な個性を持っていますね。

 バッハがたくさんのオルガン独奏曲を書いたのに対し ヘンデルはまったく書いていないのも特徴的。
 しかしかわりに ヘンデルはオルガン協奏曲を16曲ほど書きました (疑作含む)。
 それらの多くは 意外なことに、オラトリオなどの間に演奏されるべきものとして書かれたものです。
 そのためもあって バッハのオルガン曲のような堅固・荘厳ではなく、明朗・華麗。
 しかしそれはヘンデルのほかの作品にも共通するところでしょう。

 そのため どうしても、バッハのオルガン曲よりも軽く見られがちですよね。
 バッハよりも確かに「軽い」のですが、だからといって無視されるべきものではなく、バッハとはまた別の魅力がある。
 編曲物や アド リヴに任せられる部分が多いにしても です。
 (アド リヴ部分は もちろん オルガンの名手であったヘンデルがその技術を披露する場でありました。)
 鼓膜をビリビリと震わせ、腹にズシーンと響く荘重な響きだけがオルガンではない。
 オルガンの別の面、小回りの聞く可愛い響きを堪能させてくれる、愛すべき作品たちなのです。

 私が特に好きな楽章を列挙してみますと、
 まず、おしゃべりな小鳥のように 16分音符がチロチロと駆け回るオルガン・ソロが楽しい第2番変ロ長調Op.4-2の第2楽章:アレグロ。

 オルガンが通奏低音でしか使われないものの、ヴァイオリンとチェロの掛け合いによる ゆったりとしたメランコリーが心地よい第3番ト短調Op.4-3の第1楽章:アダージョ。

 さらに その終楽章:アレグロは、私の大好きなリコーダー・ソナタ ト短調Op.1-2 終楽章の編曲で、また第11番ト短調Op.7-5の終楽章:ガヴォットも同曲による編曲。

 ハープ協奏曲の編曲として有名で、弱音による繊細で可憐なメロディがたまらない第6番変ロ長調Op.4-6の第1楽章:アンダンテ, アレグロ。

 颯爽としたフーガがかっこいい第8番イ長調Op.7-2の第2楽章:ア テンポ オルディナリオ。

 この曲集の中で最も暗く陰鬱で、微妙な音の重なりによる冒頭は幽玄さを感じもする、特異な第10番ニ短調Op.7-4の第1楽章:アダージョ。

 大きな跳躍のグラウンド バスをバックに、落ち着いたテンポながらオルガンが自由に踊る感じの 第11番ト短調Op.7-5の第2楽章:アンダンテ ラルゲット エ スタッカート。

 “カッコウとナイティンゲール” が鳴く第13番ヘ長調HWV.295の第2楽章:アレグロ(「芸能人格付けチェック」でも使用されています)。

 −などなど。

 しかしこの曲集で最も好きなのは、第4番ヘ長調Op.4-4 (HWV.292) の第2楽章:アンダンテ。
 オルガンは高音の弱音で、優しくも細かな動き。
 管弦楽は控えめに合いの手を入れるのみ。

 なんと優しく美しい音楽なのでしょう。
 オルガンだけに 私のような者でも、キリスト教的な慈愛みたいなものを感じずにはいられません。
 その中でも特に好きな部分は 第1のオルガン・ソロの部分、オルガンが徐々に音を高くしていって、左手の伴奏が主旋律の鏡写しのメロディを奏でるところ。
 小さな高揚感。


 今回はもうひとつ!
 第7番変ロ長調Op.7-1 (HWV.307) の第1楽章:アンダンテ。
 4小節の主題に基づくパッサカリアの2部構成という大変凝った、規模の大きな曲です。
 とはいえ これもヘンデルらしい明朗な気分。

 しかし初めて聞いたときは驚きました。
 第1部で、オーボエが突然 短調のメロディを奏したかと思うと、すぐさまオルガンに引き渡され、チェンバロ組曲第7番のパッサカリア (ハルヴォルセンの編曲でも有名なやつです) が現われるのです。
 なんともかっこいい仕掛け!

 また第2部で、ヴァイオリン部がいかにも爽やかなメロディを奏する部分、さらにその後オルガンが短調に転調するところもいいんですよねぇ。

 この曲集を初めて聞いた時、リコーダー・ソナタや合奏協奏曲の編曲を面白がりながらも ほとんど聞き流していたのですが、この楽章を聞いて オルガン協奏曲集 侮りがたし!と思い直し、改めてちゃんと聞きなおしたのです。

 ヘンデルはBGMにも最適ですので、その真価に気づかず素通りということにならないように気をつけないといけないんですね。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 00:00
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