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♪Questo♪Momento♪ 第20番「次男のスーシな無伴奏」
 このコーナーで取り上げる曲はほとんどが 何年も前にその魅力を感じ それ以来 親しんでいるものであるわけですが、今回は先日初めて聞いた曲を取り上げたいと思います。

 C.P.E.バッハの無伴奏フルートのためのソナタ イ短調Wq.132(H.562)

 バッハの無伴奏フルート曲といえば ヨハン・ゼバスティアンのパルティータ イ短調BWV.1013が有名ですが、これはその次男カール・フィリップ・エマヌエル (1714-1788) の作品。

 先月入荷した有田正広のドイツ・バロック・フルート作品集のCDにそれが収録されていました。
 そのCDを商品としてアップするため データを打ち込みながら聞いていた私。
 1曲目の大バッハのフルートとチェンバロのソナタBWV.1030 を聞いて けだし名曲! そのうち百曲一所に、と思っていたのですが、次のC.P.E が始まってビックリしました。

 第1楽章:ポーコ アダージョ。−なんだ この曲は!
 データ打ち込みの手を止め、聞き入ってしまいました。
 幻想的なほの暗さ、休符の多用、急な強奏、跳躍。
 心地いい響きとはまったく趣を異にした 心に迫ってくる音楽。
 基本的には静かでありながらも、デーモニッシュとも言えるような情動的な音楽に驚かされたのです。

 また有田氏のバロック・フルートの渋い音色と微妙な音の揺れが 尺八などの和笛を思い起こさせます。
 間を取りながら じっくりと演奏していることもあって、時代も 洋の東西も超えているかのように聞こえるのです。

 第2楽章と第3楽章は ともにアレグロ。
 この2つの楽章は 西洋の伝統と時代を感じさせ、また大バッハの面影もありますが、コロッと雰囲気が変わるのではなく、ともに短調で 第1楽章のほの暗い気分や奇想を引き継いでます。

 すっかり魅了され、その日のアップは見送ることにいたしました。
 それから何度 聞いたことでしょう。

 PCにコピーしましたので 私はそれで楽しむことにし、CDは本日アップし直しました。興味おありの方はぜひ。


 ところで C.P.E.バッハといえば、メンツェル作の「サンスーシ宮におけるフルート演奏」の絵でも知られるように、フルート好きのプロイセン・フリードリヒ大王に仕えたことで有名ですね。
 サンスーシ宮殿(Schloss Sanssouci) は “無憂宮” と訳されるように、その名はもともとフランス語の Sans Souci (憂いなし) からきている。
 こんなに陰鬱な曲を大王が吹いて楽しんだ なんてちょっと信じられない気もするのですが、有田氏のCDのライナーノート (市川信一郎氏) では、大王がこの曲を愛奏したとは考えられない としています。
 確かに時流の最先端であった多感様式が支配的だったものの、典範とみなされていたのは楽長カール・ハインリヒ・グラウン、あるいはクヴァンツで、エマーヌエル (ライナーノーツの表記) は多感すぎたと。
 大王は エマーヌエルをチェンバリストとして高く評価していたものの、作曲家として買っていた形跡はない としています。

 C.P.E.バッハは兄弟の中では最も 生前の名声を得ることができた作曲家とされていると思いますが、大王に阿る曲を書いていたわけではないようですね。

 ***

 ちなみに 自作の竹笛による さまざまな曲の演奏をアップしておられる方のサイトに、この曲を見つけました。素朴な竹笛による演奏もさることながら、第1楽章1枚目の楽譜を見ることができます。

 また 本日 レコ芸4月号に、エマニュエル・パユの「フルート・キング、フリードリヒ大王の無憂宮の音楽」というアルバムの発売にあたってのインタビュー記事があることに気づき、驚きました。この曲も収録されています。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 13:21
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