RSS | ATOM | SEARCH
♪Questo♪Momento♪ 第24番「白鳥のロースト、高音バリトン添え」
 弟の会社が日本センチュリー響に賛助している関係で、抽選ながらコンサートのチケットが入手できる可能性があるわけですが、弟は見事当選、19日 小泉和裕指揮の「カルミナ ブラーナ」を聞きに行くことができました。

 やっぱり生は違いますね! その圧倒的な音響に大感激!

 弟は最近 マーラーに凝っているらしいのですが、それほどたくさんの曲を知っているわけではありません。この曲についてもまったく知識なし・予習なしだったのですが、演奏終了後 目に涙を浮かべ、衝撃体験! と興奮していました。
 聞きに行くことを勧めた甲斐があったと、兄の満足も倍増。
 ということで、今回の「百曲一所」、書こうと思っている曲が2曲あって 今回どちらにしようか迷っていたのですが、それらは後回しにして急遽 オルフ:「カルミナ ブラーナ」の登場とあいなりました。

 さて「カルミナ ブラーナ CARMINA BURANA」とは ラテン語で「ボイレンの歌」という意味。
 ベネディクト派ボイレン修道院の写本に基づくラテン語等による13世紀の歌と詩です。
 この写本は1803年に発見され、その後 ミュンヘン王立中央図書館の所蔵となったのですが、司書シュメラーが編集、1847年に刊行しました。「カルミナ ブラーナ」はシュメラーによる命名です。
 ラテン語等で書かれた250編ほどの詩は 春の賛美、愛の歌、宗教的な歌がある一方で、酒、バクチ、売春など 不道徳の賛美の歌も多いのが特徴。ミサの典礼文のパロディまであるとのことです。
 この修道院を訪れた学生や修道僧たちによるものと考えられているようですが、そのような歌がよくぞ保存されていたものだと感心してしまいます。

 カール・オルフはこう語っています。
 −この本を入手した1934年の聖木曜日は忘れられない。本を開くと最初のページに 名高い「車輪を持った運命の女神」の絵があり、その下に次のように書かれてあった。
  おお 運命の女神よ 月のように姿は変わる 満ちては欠ける
 絵と言葉は私をとりこにした。すぐに 歌って踊る合唱団を用いた舞台作品が思い浮かんだ。数日間で最初の「おお フォルトゥーナ(運命の女神) よ」の下書きを終えた。…

 上記の句はそのまま冒頭の歌詞に。
 最近は いわゆるバラエティ番組で頻繁に使われていますよね。バラエティ番組が どれだけ大げさに盛り上げようとしているかの証拠のようなもの。視聴習慣を持っているクイズ番組でも、なぜ まるで戦争か 人生がかかっているかのような大仰な演出をせねばならないのか理解に苦しむことろです。

 閑話休題…
 オルフは24編を選び、上記の序奏部と 三部からなる音楽に仕立てあげました。
 第1部:初春に、草原にて。第2部:酒場で。第3部:愛の誘い。

 洗練されたハーモニーなどとは趣を異にする バーバリックな技法。
 複雑なリズムとその躍動、さまざまな打楽器の活躍。
 主役と言ってもいい合唱は単旋律的で 各声部も絡み合わない。一方 独唱は高音を駆使、またメリスマを効かせた 大変技巧的で難しいもの。
 原始的なエネルギーの爆発によって、中世の生と性が生々しく表現されます。

 さて、一番好きな部分となると あれかこれかと迷ってしまうのですが、どうしても気になるのは 第2部「酒場で」の1曲目「胸のうちは抑えようもない」と 次の「昔は湖に住んでいた」。
 1曲目はバリトンによる地獄落ち覚悟の自堕落悪漢宣言、2曲目はテノールによる ローストされる白鳥の瀕死の歌。
 ともに それぞれのパートにしては高い音域で 大変なんですね。
 1曲目は高音で 激しい怒りとやけっぱち感を出さねばならないし、2曲目はファルセットを駆使して不気味な諧謔味を出さないといけない。
 特にバリトン歌手は できるなら歌いたくない曲なのではないでしょうか。

 コンサートでのバリトン歌手 (名は伏せておきます)、やはり苦しかった…。なんとか無難に という安全運転の歌であったにもかかわらず、この曲の最後のAの音もなんとかかすったという程度。また途中 出を間違えるという痛恨のミスが。
 でも かのフィッシャー-ディースカウのセッション録音でも決して満足できる歌とは言えませんので、いたし方ないですよね。ちなみに私が聞いた中で一番好きなのはアイヒホルン盤のヘルマン・プライです。3曲目の「わしは大僧正だぞ」などインチキっぽさ全開で最高です。

 しかしテノールの高橋淳氏はよかった!
 なんと白鳥になりきった芝居付きで、文字通り 芝居っ気たっぷりに断末魔の白鳥を表現していました。小太り、縮緬パーマ、薄い目つきという風貌も面白くて まさに性格的テノール。パンフの経歴には「ルル」のアルヴァ、「サロメ」のヘロデと書かれていますが 納得です。出番が1曲だけというのはいかにも残念でした。

 それにしても なんとも不経済な曲です。合唱団、少年合唱団、3人の独唱、6人の打楽器奏者、2台のピアノ、さらにはチェレスタ。
 1曲のみのテノールだけでなく、ソプラノと少年合唱も第1,2部は出番なしで ひたすら待機。

 ソプラノは幸田浩子嬢。このパートも厳しい高音がありますが 健闘していました。浅田真央が大人になったような愛らしい笑顔を絶やさず ひたすら出番を待ち続ける姿が印象的でした。

 ところで、今回のこの公演、NHK-FMの収録がおこなわれるということで、マイクが設置されていました。
 指揮者のあたりに何台も吊るされているだけでなく、オケの中の足元に置かれていたり、またステージ後方の座席付近、しかもオケとは逆、座席のほうに向けられているもの (4本だったか) があることに驚いていました (後部座席の右半分は児童合唱が陣取っていましたが)。
 まだ放送日時は決まっていないとのことですが、ぜひ聞てみたい。冒頭などの大音響は ホールに飽和状態という感じだったのですが、放送ではさてどう聞こえるのか。興味深々です。
 しかし 目立つミスをしてしまったバリトン歌手はツライところでしょう。まさかミス部分に修正を施すなんてことはないでしょうね。


 アイヒホルン指揮のCD (EURODISC)。ヨッフム盤に負けず劣らずバーバリック。ソプラノはルチア・ポップ。
  (私物でございます)
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 22:18
comments(0), -
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 22:18
-, -
Comment