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♪Questo♪Momento♪ 第34番「神殿崩壊前の熱狂」
 6/30 いずみホール、演奏会形式の「サムソンとデリラ」に行ってきました。
 オケは弟が所属しているアマチュア・オケ。しかし主役2人にフランスの歌手。
 アマオケらしからぬ豪華な公演であったのは 笹川日仏財団、関西日仏学館の主催・協力での公演であったためでした。

 素晴らしかった!
 弟のオケは 以前になかったような出来。特に金管セクションの充実は目覚しく、この日のためにうまいエキストラを雇ったのだろうと思っていましたが、弟によるとそうでもないとのこと。ワカランもんです…。
 デリラ役のメッツォ歌手は声量がいまひとつで妖しい毒婦にしてはしとやかでしたが、サムソン役のモグリ・ラップスは声量もあり健闘。ロブストな声質ではなく 怪力の超人という感じではないものの 難役をしっかりと歌っていました。
 大祭司役の町英和氏は声量充分で 表現力もあり 素晴らしかった。
 合唱はわずか20人でしたが、うまかった。この公演のための特別編成のようですが、ひとりひとりの力量が優れているのでしょう。ドラマ作りに大いに貢献していました。

 「サムソンとデリラ」は好きな部分もあるものの 特に好んでいるわけではなく、百曲に選ぶつもりはありませんでした。しかし これを聞いたあとには選ばずにはいられないように。

 旧約聖書をもとにした物語の簡単なあらすじを書いておきますと --
 紀元前1150年頃、パレスチナ・ガザ。ペリシテ人に征服されたヘブライ人。しかしヘブライの英雄サムソンがペリシテ人のアビメレクと戦って勝利したのをきっかけに ペリシテ人たちは退散、ヘブライ人は解放の喜びに沸く。
 しかしサムソンはペリシテの娘 デリラの魅力に目がくらむ。彼女の巧みな色仕掛けによって、ついに神への忠誠を捨て 彼女との愛を選択。それを神が警告するかのように雷鳴と稲妻が近づく中、ペリシテ人兵士に捕らえられてしまう。
 怪力の源である長い髪を切られ、両目をえぐられてしまったサムソン。デリラの愛は最初から罠であったことを知り 自分の愚かさを悔いるばかり。
 ダゴンの神殿。ペリシテ人たちはサムソンをあざ笑い 大いに盛り上がる。
 サムソンはかつての怪力を一瞬でも蘇らせてほしいと祈る。神殿の2本の柱を揺さぶると、神殿は轟音とともに崩れ落ちる。

 最初は劇的オラトリオとして着想されたようですが、リブレットを書いたルメール (サン-サーンスのいとこ) がオペラにすることを薦めたようですね。
 聖書の物語をオペラとして舞台にかけることに抵抗があったこともあって まともな上演はすんなりといかなかったようで、パリ・オペラ座でのフランス語による全曲上演が実現したのは完成から15年後だったとのこと。しかし その後30年で500回も上演される大ヒット作となったのです。

 私はこのオペラの映像を見たことがありませんが、最後 神殿が崩れ落ちるところをどうするのか難しいでしょうね。その点 今回の公演のような演奏会形式ではその問題はありません。
 オーケストラが、そしてティンパニのドラムロールが それを表していましたが、ものすごい轟音に鳥肌が立ちました!
 録音ではそうはいかないですね。生ならでは迫力、感動でした。

 さて 好きな部分ですが、実は私、バッカナール 好きなんです。
 第3幕第2場、勝利を祝う宴、踊り騒ぐペリシテ人たち。
 「レッドスネーク カモン!」(ふ、ふるい…) を思い出させる いかにもアラビア風なオーボエ・カデンツァでの開始。そしてエギソティック・異教風なメロディ (優しい中間部は西洋風ですが)、妖しくエロティック、華麗でカラフルに盛り上がります。
 いかにもサン-サーンスらしい通俗性とは思うのですが、デリラに対するサムソンのように 効しがたい魅力を感じます。

 それともう一ヶ所。
 その後 デリラと大祭司、ペリシテ人たちが サムソンをあざ笑い、続いて 彼らが祭壇に向かいダゴンの神に酒と祈りを捧げる場面。

  Gloire à Dagon vainqueur!   ダゴンの神に栄光あれ!
  Il aidait ma faiblesse      わが弱点をお助けくださった
  Inspirant à mon coeur     わが心に湧きあがる
  Et la force et l'adresse.     力と巧妙さ


 特にここが好き!
 喜びの歌を 大祭司、デリラ、ペリシテ人たちカノン風に歌い継いでいきます。
 リズム弾み、グロッケンシュピールが鳴り、ペリシテ人たちの興奮は最高潮となるのです。

 が そんな中、最後の力を得たサムソンが神殿を潰す大逆転のエンディング。
 いやー 面白いです。

 ***

 電光掲示板で歌詞対訳が出るというのもありがたいことでした。あれ、裏でタイミングを合わせて、対訳を切り替えている人がいるのでしょうか?
 しかし ちょっと不思議だったのは、「デリラ」という表記が、第2幕前半など一部で「ダリラ」となっていたこと。大祭司が呼ぶときは「ダリラ」とするという凝ったことをしているのかとも思いましたが そうでもないようでしたので、単なるミスだったのでしょう。

 歌詞はフランス語なので 歌手たちが「ダリラ (Dalila)」と発音していることもあって、時々「サムソンとダリラ」という表記を見ることもありますが、それなら「サムソン」もフランス語風に「サンソン」とすべきですよね。

 ***

 ペリシテ人はアラブ系なのだろうと 念のため WIKIPEDIAを覗いてみますと、パレスチナは「ペリシテ人の土地」という意味だが、パレスチナ人とペリシテ人は直接の関係はない とあります。アラブ系の民族かどうかもよく判らないですね。バッカナールがアラビア風なのは単に異教徒のイメージに過ぎないのかもしれません。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 22:29
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