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♪Questo♪Momento♪ 第39番「涼しい響きの中の高揚感」
 今回はクソ暑い夏にピッタリの涼しげな響きを。

 ホアキン・ロドリーゴといえば、なんといってもアランフエスの協奏曲、特にメランコリックなメロディで有名な第2楽章:アダージョで有名ですが、私はこの楽章が昔から苦手。
 ロドリーゴの魅力のひとつに そうした感傷性があることは疑いの余地のないところですが、私が好きなのはそれではなく 小粋で洒脱な曲想♪

 1952年作曲の コンシエルト セレナータ
 コンチェルト・セレナータとも、あるいは 竹松舞のディスクでは セレナータ協奏曲と訳されています。

 スペインの伝統的な音楽・舞曲の使用、軽快なリズム、適度にモダンな和声。
 コンパクトですっきりとしたスタイル。
 カラフルでありながら、小管弦楽の薄めのオーケストレイション。ハープの音色を含めて 水彩画を思わせるような。
 深い精神性とか、訴えかける力強さではなく、楽天的で、しゃれていて、耳に心地よい作品。まさに私がロドリーゴに期待するものそのものです。

 ロドリーゴはこの曲の「セレナータ」について、19世紀的なものへのノスタルジーを込めており、夕べに奏でられる窓辺の恋歌としてのセレナード、あるいは舞曲を含む多楽章形式の娯楽音楽としてのセレナードのふたつの意味を持っている としています。

 3楽章からなり、第1楽章:エストゥディアンティーナ (アレグロ マ ノン トロッポ)、第2楽章:間奏曲とアリア (アダージョ)、第3楽章:サラオ (アレグロ デチーゾ)。

 第1楽章の「ESTUDIANTINA (エストゥディアンティーナ)」は、ヴァルトトイフェルのワルツ「女学生」の原題と同じ。
 「女学生」は誤訳で、実は スペインの学生の楽団のことと聞いていましたが、竹松舞のCDの解説には「夜通し演奏を聴かせるスペインのギター・バンド」と書かれています。
 複雑ながらも軽快なリズム。金管の調子っぱずれな音響を使用する、スケルツァンドな雰囲気。
 スペインの町の楽団を思わせもしますが、しかし決して声高にはならない。それこそ夕べの音楽というところしょうか。
 しかしハープ・カデンツァは そうした雰囲気から離れ、夢幻的に飛翔するのです。

 第2楽章はメランコリックなメロディがカノン風に進行しますが、密やかで しかもカノンであることから 濃い情緒ではなく、なんとなく思索的にも感じられます。
 中間部はテンポを速め、弾む主題のフーガ。得意の管楽器による複調の調子っぱずれも現われ、決して感傷的ではありません。
 その後 メランコリックな主部が帰ってきますが、単なる一般ウケするような感傷的な音楽ではなく、ちょっと奇妙で、知的好奇心をそそるのです。

 しかし一番好きなのは第3楽章。
 SARAO、これはいかにもスペイン風の舞曲。明るく軽快な主題はキラキラときらめくよう。

 この楽章の構造がよく判っていないので書き表しにくいのですが、2分半くらい、弦楽が主役となって 短調の哀愁をおびた流麗なメロディを奏でる部分。
 特にここが好き!
 スペインの民族衣装を着たカッコイイお兄さんが セクシーなステップを踏むのが目に浮かぶよう。
 ハープが強く掻き、合いの手を入れるのも素敵です。
 しかしほどなく主従交代、同じメロディをハープが引き継ぎます。
 
 いや それに続く部分、ハープによるDの連続で長調に戻り、複雑なリズムで高揚する部分も なんとカッコいい!

 そして主要主題が複調による滑稽な表情で戻ってきます。
 この曲、決して最後にクライマックスを持ってくるわけではなく、高揚感を長く持続させる感じなんですね。ひょっとするとスペインの舞曲の特徴でしょうか。

 ともかく愉しく 粋な音楽!
 やはり私は ロドリーゴといえば、この曲です。

  
  管弦楽とともに雄弁で熱い血を感じさせるイザベル・モレッティ盤 (VALOIS)。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 02:22
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