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♪Questo♪Momento♪ 第50番「鬼神と貴婦人 琴瑟相和す」
 今回は ニコロ・パガニーニの曲を取り上げましょう。



 パガニーニといえば、なんといっても カプリッチョとか協奏曲とか、超絶技巧を駆使したヴァイオリン曲で有名。

 それらは現在でも難曲ですが、パガニーニの生前には 彼は悪魔に魂を売り渡して ヴァイオリンの腕を手に入れた と噂されていたといいますから、その超絶技巧、当時としては破格だったのでしょう。



 私、実は苦手なんです…。

 告白しますと、カプリッチョは全曲を聞き通したことがないと思います。



 好きなのは 協奏的ソナタ Sonata Concertata M.S.2。

 ヴァイオリンとギターのための曲です。

 録音は決して多くないですが、パガニーニはこのふたつの楽器のための作品を結構たくさん書いているのですね。この作品は1803年頃といいますから、20歳頃の若書きです。



 第1楽章:アレグロ スピリトーゾ、第2楽章:アダージョ アッサイ エスプレッシーヴォ、第3楽章:ロンドー (Rondeau と仏語のようです)

 第1楽章8分ほど、あとの2楽章は3分ほどの小規模な作品ですが、魅力的。

 独り舞台、多くの聴衆を超絶技巧で圧倒するような曲とは違って、サロン的な、くつろいだ楽しさがあります。



 なんといっても最初にとりこになるのは第1楽章。なんという屈託のない明るさ、軽快さ!

 第1主題ではまずギターが主役、その後ヴァイオリンが主役で繰り返す、第2主題ではその逆というように、仲良く主従交代しながら 進んでいくのがほほえましい。

 大胆な転調から展開部。ふたつの主題が展開していきますが、第1主題の一部から変化させたフレーズは「セビーリャの理髪師」を思わせます。

 短調と長調のはざまを行きかう見事な音楽。

 そしてカデンツァに突入。ヴァイオリンではなく ギター・ソロ! 華麗なトレモロで音階を駆け上がって、再現部となります。



 悪魔的ではないパガニーニの楽しさを満喫するのです。



 第2楽章はメランコリックなカンツォネッタ (イタリア風の小さな歌)。

 …にしては あまり魅力的なメロディではない。

 そのことに最初は不満を感じていたのですが、この曲は “エスプレッシーヴォ”。

 美しいメロディによる心地よいメランコリーを越えた、もっと感情的な暗さがこの小さな曲にあることに気付くと、一転 ここが好き!に変わったのでした。

 それは有名ヴァイオリン曲よりも、私にとっては 心の琴線に触れるのです。



 第3楽章は軽快・快活、第1楽章の気分に戻ります。とはいえ途中さりげない転調で 第2楽章の暗さを充分思い出させます。

 ああ、素晴らしい。





 パガニーニは同じ時期に 同じく3楽章ながら より規模の大きい 大ソナタ Grand Sonata N,S.3 を書いています。

 それは協奏的ソナタと対をなしているようにも感じられますが 内容はかなり違っています。

 と言いますのも 協奏的ソナタはギターとヴァイオリンが対等な関係の二重奏であるのに対し、大ソナタはギターが主役で、ヴァイオリンはあくまで伴奏なのです。

 しかもギターはかなりの技巧を要するのですね。音の小さなギターが技巧を駆使したソロ的役割を演じ、ヴァイオリンはギターの邪魔にならないように 弱音で伴奏に徹するというのは、どうも不自然さを感じます。





 パガニーニの伝記を見てみると、1799年 わずか17歳で、父の監督から離れて独立、イタリア各地を演奏旅行し 名声を獲得。この頃から早くもロマンティックで波乱に富んだ、あるいは奇異なエピソードに彩られることになるようですが、2年後の1801年から4年間は 演奏会からまったく姿を消したとのことです。

 というのも、とある貴婦人と同棲していたらしい。

 そしてギターに没頭していたというのです。



 WIKIPEDIAを覗いてみると その時期について、−フィレンツェの女性ギター奏者を愛人としていた、とあります。



 これら2曲は 愛する女性との愛の結晶なのかもしれません。



 とすれば 大ソナタはギターの難曲ですから、愛する女性は貴婦人ではなく、ギター奏者でしょう (まさか貴婦人のギター奏者なんていませんよね?)。



 あるいはギターこそパガニーニが弾くパートで、それらは彼女と演奏するための曲ではないという可能性もありますか。



 ***



 ♪Questo♪Momento♪ この曲のここが好き! 半分の50曲まできました。もうやめようと何度も思いながら なんとか続けて ここまで来ました。ペースを落としてでも なんとか100曲到達できればと思っております。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 23:25
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