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♪Questo♪Momento♪ 第58番「不気味な鐘の音の美しい変化」
 16日、雪降る寒い琵琶湖畔。光永秀子さんのコンサートに行ってまいりました。

 このブログでは時々ご登場いただく、ピアニスト・チェンバリストさんです。

 光永さんは音楽一家で、今回は皆さんでの「ファミリーコンサート」。光永さんとお姉さんとのピアノ連弾、妹さんのフルート、お父さんのファゴット、義兄さんのクラリネット、そしてアイドルみたいにかわいい姪っ子ちゃんの打楽器。

 ファミリーコンサートは今回で9回目。三姉妹の出産などで久しぶりだったとのこと (7年ぶり?)。今回はついに親子三代による演奏会になったそうです。いやぁ スゴイですねぇ〜。

 

 コンサートのコンセプトは「プーランクとフランスの仲間たち」。

 曲目は プーランクのクラリネットとファゴットのためのソナタ、フルート・ソナタ、ピアノ連弾のためのソナタ、「シテール島への船出」、そしてミヨーの「屋根の上の牛」、イベール:木管三重奏のための5つの小品、さらにドビュッシー、ラヴェルの名曲を合奏用にアレンジしたもの。



 とりわけ光永さんとお姉さんのピアノ連弾は素晴らしく、“大津のラベック姉妹”という感じ。

 プログラム前半に弾かれた「屋根の上の牛」のピアノ連弾版に、ギロなど数種の打楽器を加えた「光永ファミリー版」も その珍しいアレンジとともに、メリハリの利いた ウキウキ感満点の演奏が最高だったのですが、それ以上だったのが後半でのプーランクの連弾ソナタ。



 私は2台ピアノのソナタと混同してしまっていて、しかも2台のソナタを連弾で弾くと勘違いしていたため、出だしから訳が判らなくなっていました。

 しかし力強い 訴えかけある演奏と、高音側に座るお姉さんが光永さんの両手をまたいで、低音に手を伸ばし、高音と同時に弾くという奮闘ぶりに (そのことも2台からの編曲という勘違いを後押ししたのですが) 興奮していました。

 しかしあっという間に曲は終了 (3楽章で6分ほど)。

 ますます訳が判らなくなっていたのですが、帰ってCDを聞き、納得。

 無事 2台ソナタと連弾ソナタの区別がつきました。



 まぁ こんな感じではプーランク好きとは言えません…



 …が、臆面もなく 2台のピアノのためのソナタ を取り上げます。

 以前取り上げたプーランクが2台のピアノのための協奏曲であったとしても…。



 ネットで楽譜が見られる以外 資料がほとんどなく 形式等よくわからないままではありますが (DENONのINDEX付きのCDがあれば最高なんですけどね…)、ともかく改めて聞いてみて感動! これを取り上げずにはいられなくなりました。



 作曲は1952-53年といいますから プーランク50歳台。その作風は、皮肉っぽい軽妙さもあるものの シリアスな気分が中心で、大曲とまではいかないながら 大変充実した作品です。

 以前はプーランクの軽妙洒脱さを追っていたため、それほどの愛着を感じなかったのでしょう。



 4楽章からなり、プロローグ、アレグロ モルト、アンダンテ リリコ、エピローグ。



 4分の3拍子。第1楽章冒頭、鐘を思わせる響き。調子っぱずれで 冷たく 無表情で なんとも不気味 (極めて遅く静かに)。

 それは大きく展開することはないものの 徐々に音楽的になっていくのですが、その変化が素晴らしい!

 その後「次第に活き活きと」から音楽は大きく動き出しますが長くは続かず、休止の後 地響きのような不気味な音。

 そして「最初よりもさらに遅く 極めて静かに」の指示の部分。 −特にここが好き!

 鐘の音楽の変形。徐々に音楽的となっていった その続きのよう。優しく 寂しさや慰めの感情を含む音楽になっているのです。−言いようのない感動がこみ上げてきます。

 しかしその後 冷たい鐘の音楽が回帰し 再び不気味に。そのまま終わるかと思いきや 最後の最後でふと柔らかい表情を見せ、静かに終わります。



 第2楽章は通常のプーランクのイメージに近い音楽。「非常にリズミカルに」の指示のある 皮肉の感じられる軽妙さある音楽。速いパッセージに わかりやすく印象的なメロディが乗ってきます。

 その後 美しい2つの主題。

 悲劇的な和音を経て「特に急がずに (非常に穏やかに)」から中間部。第1楽章の鐘の音楽を思わせます。

 最初は沈滞した感じですが、息の長いクレッシェンドで不気味さを増していく。手に汗握る緊張感ある音楽、ここの部分も大変素晴らしい!

 それが穏やかに落ち着いていって、主部が戻ります。



 第3楽章は序奏がありますが これまた鐘を思わせる音楽。しかしそこにはなんとなく明るい響きが。

 「特に急がず慌てず」から主部、穏やかで優しいメロディ。その後も大きく表情を変えることなく、毒気のない 美しい緩徐楽章となっています。ちょっと意外な気も。

 プーランクは「全曲の中心」と語ったとのことです。



 第4楽章も第2楽章に近い ちょっと人を小ばかにしたような 敏速で軽妙な音楽。「ティレジアスの乳房」を思わせます。

 それが突然休止したかと思うと、第1楽章同様の地響きのような不気味な音。そして特にここが好き!の優しく 寂しさや慰めの感情を含む鐘の音楽の変形が再び現われるのです! (指示は「とりわけ遅く静かに」)。一粒で二度おいしい。

 その後 スービト テンポ アレグロ グラチオーゾで主部が戻ります。

  「レントよりも2倍遅く 大変正確に」で 悲劇的で重厚な音楽となり、続けて第1楽章冒頭の鐘の音楽が回帰。

 最後の最後、この楽章の主題の変形が現われ、曲を閉じます。



 いや素晴らしい曲!

 いつか光永姉妹さんに聞かせていただきたいものです。
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 21:30
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