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♪Questo♪Momento♪ 第59番「グリッロはよい歌い手」
 イタリアでおこなわれた議会選挙が日本でも話題になりました。

 優勢が伝えられていた中道左派の下院での優位はわずか。一方 ベルルスコーニ前首相率いる中道右派は上院での過半数にこそ届かなかったものの 大きな影響力を発揮できる議席を確保。

 どの政党も安定多数を確保できないという結果となったことで 欧州債務危機をめぐる市場の不安が再燃。日本の「安倍相場」にも影響を与えました。



 そんな中 大いに話題となった元人気コメディアンのベッペ・グリッロ氏 (Beppe Grillo)。

 彼が率いる「五つ星運動」は初の国政選挙であったにもかかわらず 25%以上の支持を獲得しました。

 グリッロ氏の直截で大胆・過激な発言は、既存政党のスキャンダルや腐敗にうんざりしている有権者に大いにアピールしたようです。

 大阪の橋下徹旋風のイタリア版みたい。



 グリッロ氏は「アルカイダにイタリア議会を爆破させろ」とかなんとか言ったそうですが、それについて 彼の選挙活動を取材していた日本のTV (どこの局だったか?) が「議会は爆破しませんか?」と聞いていていました。

 グリッロ氏は「オレはコメディアン。ジョークだよ。」とかなんとか言って返していましたが、あういう質問、どうなんでしょう。

 私は くだらない質問をするな、わざわざイタリアまで行ってそんなことしか聞くことがないのか、と恥ずかしく、情けなく感じたのですが。



 ***



 ところで Grillo とは コオロギのこと。

 なぜそんなことを知っているかというと、ジョスカン・デ プレに「El grillo」という歌があって、好きなんです。

 ですから昨日からこれが何度も頭に浮かび、カウンター-テナー (ただの裏声ですが) で歌ってばかり。もちろん適当にですが。



 ジョスカン・デ プレ:「コオロギはよい歌い手」 4声、イタリア語によるフロットーラ (frottola) 1570年代作曲



 ジョスカン・デ プレは、オケゲムの後をうけて活躍したルネサンス時代フランドル楽派の代表的な作曲家 (1440?-1521)。

 「パンジェ リングヮ」をはじめとするミサ、あるいはモテトゥスなど宗教曲がより重要といえるでしょうが、私が好んでいるのはもっぱら世俗歌曲。

 「千々の悲しみ Milles Regretz)」や「オケゲムの死を悼む挽歌」といった しっとりとした美しいメロディが心に染み入ってくるような曲も素晴らしいのですが、それ以上に私の心をとらえたのは、ひょうきんな「コオロギ」や 快活な「スカラメッラは戦に行く」でした。



 あと「わたしを慰めておくれ Allegez moy」は物憂げなしっとりした歌でありながら−

  わたしを慰めておくれ 優しいブルネット(栗毛髪)よ へその下の

  悩みを取り除いておくれ あなたの美しさに恋せずにはいられない へその下の


 実はエロ歌であることに衝撃を受けました。どういう用途で作られたのでしょう。



 さて「コオロギ」。

  El grillo è buon cantore. Che tiene longo verso …

  コオロギはいい歌い手 長い詩を綴る コオロギよ 呑んで歌え

  コオロギはいい歌い手 だがコオロギは鳥とは違う

  鳥は少し歌うと別のところに行ってしまうが

  コオロギはいつも同じところにいて 暑くなると愛のためにだけ歌う




 何を意味しているかよく解りませんが、そういう場合は何かの風刺ですわな。

 デイヴィッド・マンロウは、この曲はミラノのアスカニオ・スフォルツァ枢機卿に仕えていた時のもので、ケチで知られた枢機卿への秘密の当てこすりが含まれているのだろうと推測しています。



 感情を込めない軽い調子がいかにも皮肉っぽい。

 高音と低音の交差から 鳴き声を模して早口になる部分も面白い。



 ジョスカンの枢機卿への不満がいろいろと想像されます。

 他の家臣たちの憂さ晴らしにもなっていたのでしょうか。



 

 ヒリアードensのジョスカン集と マンロウのネーデルランド楽派世俗歌曲集
author:, category:♪この曲の♪ここが好き♪(百曲一所), 00:18
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