▼▼モン・パリ!▼▼
またまたSさんとのメールでのお話で…。
「エコール・ド・パリとか、その前後の頃のフランスの音楽や芸術に大きな
憧れを感じるのはなぜでしょうねえ。不思議です。」
と書かれているのに、大いに共感いたしました。
「エコール・ド・パリ」とは(「印象派」などの流派ではなく定義が難しい
ようですが)、20世紀前半 パリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、
ボヘミアン的な生活をしていた芸術家集団(狭義には外国人画家)。
「その前後の頃のフランスの音楽や芸術」となると、ベル・エポックの時代
を含め、19世紀末から第2次大戦くらいまでの芸術ですか。
個性豊かで、ヴァイタリティに溢れた若き才能たち。
芸術論を戦わせ、芸術的刺激を受け合い、切磋琢磨。
高校時代、芸術愛好仲間で 特に美術に造詣の深かった安田に「今の時代
ではなく、ベル・エポックの時代に生まれたほうが、オレの才能は活きた」
みたいなことを言ったところ、安田が「オレもそう」と言ったことを覚えて
います。
今考えると、ふたりとも特に芸術的創作をしていたわけでもなく、単に芸術
が好きなだけでよくそんなことが言えたものだ、と恥かしく感じますが、芸術
好きにとって、その時代のパリにはある種郷愁にも似たような憧憬が、多かれ
少なかれ あると言えると思います。
そうした世界を描いた、プッチーニ「ラ・ボエーム(ボヘミアンたち)」の
若い芸術家4人の貧しくも仲のよい共同生活に、たまらない魅力を感じていた
のもその頃。
大学入学で関西に戻ったら(当時岐阜在住でした)、トウゲンと福本と司と
で…などと勝手に想像しており、司君には実際に話しもしました。
また高校を卒業してすぐ、初めて自分の意思で行った美術展はマリー・
ローランサンでした。
わたくし同様 大学受験に落ち、浪人が決定した失意の福本、安田と。
そして先日チラッと書きましたが、高校時代の一時期 ショパンとともに、
ラヴェル、ドビュッシーをはじめとするフランス音楽へ傾倒。
「(高校時代)プーランクのノクターンとか楽譜を買い込み、レコードを
聴きながら一所懸命練習したものです …」とおっしゃるSさん。
わたしもプーランクが大好きであります。
ただ彼を好きになったのは高校時代よりももっと後、25歳前後でした。
流麗で軽妙洒脱、子供のように悪戯っぽいかと思うと、突然物思いに耽り、
深いメランコリーに襲われたり…。
モーツァルトやシューベルトのようであると同時に、自分のテンペラメント
にも共通することがあるような気がしていました。
2つのピアノ協奏曲、ヴァイオリン・ソナタをはじめとする室内楽曲、
あるいは即興曲や夜想曲、常動曲などのピアノ曲、アラゴン2つの詩、動物
詩集などの歌曲、そしてオペラ「ティレジアスの乳房」…。
わたしはそれらを愛してやみません。
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先日、大好きなピアニスト マルセル・メイエルのCDを購入しました。
TAHRAの背の高いブック・タイプの2枚組CDで「皇帝」の入っているもの
(TAH579〜80)。
サティとの親交から6人組と関わりを持ち、プーランクの作品の初演も
手がけたという女流ピアニスト(それにしてはプーランクの録音が少ない
のが残念…)。
感興豊かな演奏もさることながら、写真やディスコグラフィなどの資料が
充実していることに感動していたのですが、とある1枚の絵に釘付けに。
中央に立つメイエル女史。
あれ? その隣に座っているのは ミヨー??
ああ、後ろはプーランク! …オネゲルもいる。
ということは女性はタイユフェール! 残りのふたりはデュレとオーリック
かぁ!
6人組を従えたメイエルの肖像画だったわけです。
おそらく有名な絵なのでしょうね。恥ずかしながらわたしは初めて見ました。
作者等 絵の説明がないのは残念とはいえ やはり立派なCD、その絵とともに
見ていただきたいので、ブログで紹介させていただきます。
ご興味のあるかたはぜひ。遅くとも明日までには掲載できると思います。
お楽しみに〜♪
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ところで一応申しておきますが、「ラ・ボエーム」はエコール・ド・パリ
よりももっと前の時代の話です。調べてみますと、舞台カルチエ・ラタンは
モンパルナスにほど近いようですが。
最後にもうひとつ、ローランサン展の思い出を。
隣で絵を見ていた3人組のお姉さんたちが「エスキースって何のこと?」と
私たちに声をかけてきました。
わたくし「う〜ん、聞いたことあるねんけど…」。
安田と福本はダンマリ。
しかし少し経ってから「素描・デッサン」のことであることを思い出した
わたくし。
いいところ見せ損ねた〜!と、悔しさをふたりにぶつけるばかりでござい
ました。
今思えば、安田は美術の好きなくせに知らなかったんですねぇ。「美術に
造詣の深かった」は撤回せねばならないかも。
大学進学で離れて以来ですからもう25年ほど会っていませんが、どうして
いるでしょうか…。