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ヤフーブログでは大きな画像をご覧いただけます。よろしければ。なおヤフーのほうは字数制限の関係で<2日目>がふたつにわかれています。
6/11(金)
4時半頃起床。まだ薄暗く、寒い。
湯を沸かすが、気温が低いのでバーナーの火力が弱い。時々ガスカートリッジにお湯をかけてやるとがんばってくれる。
※珈琲、菓子パン、キウイフルーツを食べる
小屋前の流しのそばの餌台にはウソのつがい。
トイレは小屋の奥に。小屋・キャンプ泊の者の使用は無料。簡易水洗で、臭いもなく大変きれい。
小屋泊まりした人は1組くらいいたのだろうか。
日が昇り、明るくなってきた。
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オーレン小屋キャンプ場 6:00
サブザックに必要最低限のものを詰め込み、出発。
本当は往路には夏沢峠経由で硫黄岳を使うことを考えていたのだが、キャンプ場の目の前に 復路として考えていた赤石の頭 あるいは峰の松目方面の道があるので、それを行ってしまった。
ふたりとも気づいたのはしばらく進んでから。
帰りに余裕があれば 峰の松目に寄るという計画からだったのだが、大した問題ではないということで そのまま進む。
美しいオオシラビソの原生林内。朝日が差し込む様子が美しい。
峰の松目への分岐を過ぎる。(6:15)
だんだん残雪が多くなってきて、歩きにくくなる。
山行計画当初は 軽アイゼンを持っていくつもりをしていたが、不要だろうということで持ってこなかった。ちょっと後悔。
滑り落ちないように慎重に進む。
踏むと雪が陥没し、足をとられる部分も出てきた。
だんだん木々の間から北方が覗くように。
ハイマツ帯に変わり、私が昨日登った箕冠・天狗も望めるようになってくる。
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稜線上(赤石の頭のすぐ北の分岐点) 7:17
※進行方向逆に写す −少し遅れて父が辿り着いたところ。背後の形のいい山が峰の松目
稜線上に到着し、一気にアルプス的なダイナミックな世界!
深い谷を隔てた主峰 赤岳(2899m)・中岳・阿弥陀岳が聳え立つ。
目的地である横岳、これから登る硫黄岳。
スンバラシイ!!
ここからは数年前も通った道なのだが、天気は今ひとつでガスがかかっていたので、初めてと同様の感動。
小さな簡易三脚を使って、ふたり入っての記念撮影をするが、やはりあまりうまくいかない。
花もちゃんと撮りたいし、次回は嵩張るのを我慢して三脚を持っていくか。
15分もとどまってしまった。いざ、硫黄岳へ。
※硫黄岳の登り 背後には赤岳・中岳・阿弥陀岳、見事な三役揃い踏み
※阿弥陀岳と −その後方にチラッと見えているのは立場岳(2370m)だろうか。
峰の松目が立派に見えるようになり、また箕冠・天狗の素晴らしい眺望が得られるように。その奥には縞枯山・蓼科山。
岩礫を踏みながら登っていく。
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硫黄岳山頂 (2760m) 8:05
※山頂の道標と看板 夏沢峠方面の目印のケルン 北方の風景(箕冠・天狗、その奥にうっすらと縞枯山・蓼科山)
岩礫を敷き詰めたような 平坦でだだっ広い山頂。山頂らしくない。
数組の登山者あり。
北側には名物の爆裂火口壁 −断崖絶壁、鋭く切れ落ちていて、ギリギリのところまで来ると足がすくむ。それにしてもいつ頃爆裂したのだろう。
8:14 出発。
※右手、硫黄岳の南側もなかなかの断崖 丸い山頂は“台座の頭”と呼ばれる横岳の肩(2795m) “大ダルミ”と呼ばれるゆるい鞍部には青い屋根の硫黄岳山荘が見える ダイナミックな景色が続き、父も私も写真撮りまくっている
大ダルミのゆるい下り道を行く。立派なケルンがずっと続いているのは硫黄岳が平坦なため、悪天候時は道を見失いやすいためだろう。
大同心・小同心と呼ばれる横岳西側の奇岩突起。数年前泊まった行者小屋キャンプ場から仰ぎ見ていたものだ。
○硫黄岳山荘 8:40
前回来た時は花の時期で、チシマギキョウやらキバナシャクナゲやら、まさに百花繚乱だった(ただし希少なウルップソウは花の時期が早いので、ほとんど食べた後のトウモロコシみたいな状態だった)。
さすがにこの時期、花はほとんどない。
台座の頭を通過したのは 9:15 くらいだったか。
少し行くと、横岳山頂が見えてくる。
このあたりから、お目当てのツクモグサが咲いていないかあたりをキョロキョロし始める。
花期が早いウラシマツツジ
(ツツジ科)発見。紅葉した葉や黒紫色の実は昔見たことがあったが、花は初めて。しかしツクモグサは見当たらない。
横岳直下、岩場の取り付き。東側を回り込むようにして登るのだが、ちょっとした難所でスリル満点。
鎖、網目の鉄板、梯子を使って登るが、ホント スリリング!
※登り切って、さあ山頂 台座の頭を背に
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横岳山頂(2829m) 9:40
ひと休み。数人の人あり。
“自然保護員”だったか、腕章をつけたご婦人に ツクモグサの場所を聞いてみるが、この先少し行ったところにわずかに2株ほどが見られるのみとのお答え。想像をはるかに超える少なさに驚く。
さて、ツクモグサ探しへ。
しばらく行くと、あった!
斜面に数株。しかし登山道から少し外れたところなので 踏み込まず、写真は控えておいた(ということにしておいてください)。
想像より小さく、可憐な姿。
柔らかい毛が日の光を受けて光っている。
図鑑の写真と見比べてみると、茎が短く、いかにもキンポウゲ科らしい立派な葉もない。
まだ幼いからだろうか。
父は満足し 引き返すが、わたしはもう少し先まで行ってみることに。
するとあった。
登山道の脇、岩陰にひっそりと一輪。
※阿弥陀岳をバックに
自然保護員の方は おそらく登山道に咲いている株の数をおっしゃったということだろう。
さて、わたしも引き返すことに。(10:12)
山頂を過ぎ、岩場へ。
2ヶ所の梯子のうち、登りに使わなかった直角に近いほうを降りようとしたが、情けないことにあまりにも恐ろしくて、足がすくみ、手は震えてしまった…。
這いつくばるようにして戻り、緩やかな方の梯子を降りる。
岩場を降りきったところで父に追いついた。そこは父だけでなく、数人の人。
ツクモグサが数株あるポイントだった。行きには気づかなかった。
皆が思い思いにカメラに収める。
わたしも失礼して1枚だけ(ということにしておいてください)。
山頂の先で見た株よりも茎は少し長いが、葉がないことには変わりない。
しかしこのほうが可憐。
さて、帰路に着く。硫黄岳山頂までピストン。
○台座の頭山頂 10:40
メシにする。メシと言っても菓子パン。プルーンも食べたか。
※台座の頭を下る −大ダルミから硫黄岳のダイナミックな風景。硫黄岳の南側、半分に割られたドラヤキのよう。なんともセコイたとえながら。
硫黄岳山荘通過 11:20
※イワヒバリ −この日ほどイワヒバリを見た日はない。人間を全然怖がらない。精一杯の望遠で何度か写真を撮った。
●硫黄岳山頂 11:50
北方向、夏沢峠への道を下る。
※夏沢峠への下り 箕冠・天狗を前方に眺めながら −実はこの道 登りに使うつもりをしていたのだが、下りに使って正解だった。登りに使った道を 間違わずに計画通り下っていれば、これほど素晴らしい展望は得られなかった。
爆裂火口壁を右手にしながら
岩礫の道が続く。
※夏沢峠にあるヒュッテ夏沢の青い屋根と山彦荘が見下ろせるようになる −やがて左手にオーレン小屋も
●夏沢峠(2440m) 12:48
ヒュッテ夏沢と山彦荘が並んで ある。そして風力発電の風車が数機。
※振り返って 背後は硫黄岳 −「本沢温泉」の看板があるが、ここから北東の方向に40分行ったところ。日本第二の高所にある温泉とのこと。
南西への道でオーレン小屋へ。
樹林帯の中の、石のゴロゴロした軽い下り道。ところどころ残雪あり。
●オーレン小屋キャンプ場 13:15
到着。それほど疲れはない。
少し休んでからテントを片付け、下山の準備。
山小屋の親父さんに挨拶をして、下山にかかる。(2:00頃)
と、足元にヒメイチゲ
(キンポウゲ科)を発見。
※葉が花びら(に見える萼)に近いところが可愛い なおキンポウゲ科の花は美しく目立つものが多いが、花びらに見えるのは実は萼(がく)が変化したもの ツクモグサも同様
昨日は小屋に着いたということで、注意がいかなかったようだ。
登った道をそのまま下る。
ザックの重さが肩に食い込む。普段から重いザックを担いで鍛えとかないといけない といつも思うが、いらないものまで詰め込んで登るという気にはなかなかなれないもの。
●桜平駐車場 15:30頃
登山は終了。
残った水でタオルを湿らせて体を拭き、車に置いていた服に着替えて、ちょっとサッパリ。
母の待つ実家へと車を走らせるが、林道の途中、父が目ざとくクリンソウ
(サクラソウ科)を発見。自分でも意外に感じたのだが、初めて見た。
花の色は紫のイメージがあったが、帰ってから調べてみるとヴァラエティに富んでいるようだ。
今回は梅雨の時期に咲く希少なツクモグサを見に行くことが主たる目的だったが、天気に恵まれ、バッチリ見ることができた。しかもダイナミックな展望も充分楽しめた。
さらにはキャンプ場までのアプローチ、そしてキャンプ場から目的地まで ともに短いことも、キャンプ登山の年寄りには好都合だった。こんなに便利なところは他になかなかないだろう。
夜寝づらいことを話していたら、後日父は ネット・オークションで枕部分付きのエアマットを購入した。バルブを開けると勝手に膨らむという。今時は一般的らしい。入手後父は、試しに横になっていたら いつの間にか眠っていたとのこと。次回から夜の寝づらさはかなり軽減されそうだ。
父はまた新しい一眼レフ・デジカメを購入。
次は8月に入ってすぐくらい、薬師岳を検討中だが、早く花を撮りたくてウズウズしているようだ。
余談ながら、父は 最近山登り用のスカートができたという話をしていたのだが、この2日で3人の若い女性が着用しているのを見た。もちろん生足ではなく、レギンスのようなものを履いている。
わたしにはカッコイイようには見えないが、それよりも気になるのが、そうした若い人たちが(男女とも)、ストック(アルバインポール?)を両手に持っていること。
若い時にはストックを持たないほうがいいと聞いていたし、以前は若い人はほとんど持っていなかったように思うのだが、このところなぜ持つようになったのだろう。
なんとか商品を売りたいメーカーの宣伝効果だろうか。