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メルマガ2010/12/11 青色狂詩曲
 先日 髪を切った帰り 「次は年明けですね。今年も一年お世話になり
ました。また来年お願いします!」と 女主人の言葉。
 
 ん? 去年も聞いたけど あれはもう1年前?!

 年々 1年が早くなっているような気が…。

 おい オレの人生 先を急ぐなよ…。

 とはいえ 幸せだったよ オレの人生。
 100年前の人間の何倍もの楽しみを味わったに違いない。

 すでに充分生きたのでは?
 老後 国からもらえる金を気にして生きたくはないわい。

 フッハハハ…

 こうなりゃ 残りの人生 いっちょ 劉暁波氏の開放に賭けるとか?
 
 フッハハハ…

 …などと取りとめもない妄想をしつつも ふと我に返り 糊口をしのぐため
の商品アップを考えるのでした。


 ●●青色狂詩曲●●

 先日 バーンスタインの「ラプソディ・イン・ブルー」を商品アップした際
カットのことに触れましたが http://www.falstafff.com/?pid=25053417
その時 あるお客様から カットとはどこのことか とご質問をいただきまして
「ブンテ」でもそのことを書こうと思い立ちました。

 と言いましても その方はそのディスクをお持ちでしたので タイムととも
にお知らせできたのですが 当然 皆様がお持ちというわけではない。
 楽譜があったとしても読めないような「楽典音痴」が 言葉で説明するのは
大変ですが なんとかチャレンジしてみますね。

 私がここで問題にしているカットは2ヶ所。

 1ヶ所目は クラリネット、ミュート付きトランペット、ミュート付きの
トロンボーンが順に主要テーマのひとつをコミカルに吹いた後 オケ全奏で
ジャン・ジャンジャジャン!
 そのあとのところ(ちなみにバーンスタイン新盤では 5'55) 本来なら
オケの部分がくるのです。ピアノは控えめな伴奏程度。

 そのオケ部分はやがて まるでツッコミを待つように 同じフレーズを上昇
させながら繰り返すのですが ピアノが「皇帝」の冒頭のような(?)半音階
的上昇カデンツァで割り込んで そんなオケを止め ピアノ・ソロ部分に入り
ます。

 カット版はそのオケ部分を飛ばしてしまうのですね。
 オケ全奏のジャン・ジャンジャジャンのあと ピアノのカデンツァに飛び
ソロ部分に入ってしまう。

 この続き具合がいかにも不自然!

 ガーシュウィンの友人であったオスカー・レヴァントが始めたと聞いたこと
がありますが よくもバーンスタインともあろう者が採用したなと。しかも
2回の録音とも。
 この曲の演奏は 結局のところ バーンスタインが一番好きなのですが
カットをおこなっていることが残念で仕方ありません。

 さてもう一ヶ所のカットは −
 上記のカデンツァで始まるピアノ・ソロは比較的静かなもの。主要テーマを
千鳥足のように弾き ホルンのオブリガートが加わります。
 休止の後 フォルテで別の主要テーマ(曲冒頭でクラリネットで奏される
もの)が奏され(バーンスタイン新盤では 7'46) その後 本来ならクラリ
ネットとサックスのユニゾンとなります。ピアノはカデンツァ風の結構目立つ
伴奏。
 ところがカット版はそのユニゾン部分を省略。次に来るブルージーなピアノ・
ソロの部分に繋げてしまうのです。

 こちらのカットは続き具合がそれほど不自然ではなく ユニゾン部分も
なければないでいい気もしますが それでも決して余計な部分ではないでしょう。

 
 今回 自分の持っている9種類の演奏がカットありなのか全部確認してみま
した。
 カット盤は バーンスタイン2種、プレヴィン旧盤(EMI)とルーエンサール
&ダノン盤、そしてホセ・イタールビLIVE。今は所持していないプレヴィン
新盤(PHILIPS)も確かカット版だったと思います。

 一方 カットなしは ガーシュウィン&ティルソン・トーマス、レヴァイン、
トリット&カンゼル、そしてワイルド&トスカニーニLIVE。
 まぁ トーマス、レヴァイン、カンゼルはオリジナルのジャズ・バンド版
ですのでカットがないのも当然でしょう。
 
 トリット&カンゼル版は 初演直前にカットされた部分も再現しているとか
なんとかで 通常のジャズ・バンド版にもないフレーズがあちこちにあるの
ですよ!
 カットされる部分(最初のほう)にも聞きなれないフレーズがあって 蛇足
的なんですが 面白がって何度も聞いていると 通常版が物足りなくなって
しまうという困った現象が起こってしまいました。

 他方 私の持っているフル・オケ盤のカットなしがトスカニーニのライヴ盤
だけというのも意外でした。
 この演奏 クラリネットはかのベニー・グッドマンなのですが 冒頭のソロで
わずかながら音が裏返ってしまうというミスがあるんです。

 一方 イタールビのライヴ演奏は ガーシュウィンが亡くなった2ヶ月ほど
のちにおこなわれた追悼ガラ演奏会。もう好き勝手 あることないこと弾い
ちゃってます。

 さすがにクラシックとジャズのハーフだけあって それぞれ違う。
 カット部分の処理の仕方、その他の細かなカット、使用楽器の変更、ピアノ
の即興など、もう千差万別。
 おぉ〜 もっといろいろな演奏が聞きたくなってきましたぁ。


 でもやっぱり 私はバーンスタインが好きですね。
 大柄で やや重いけれども ジャズ・テイストもさることながら この演奏
こそ「ラプソディ」であるような気がするのです。

 ラプソディとは メドレーのような自由な構成という特徴がありますが
その一方で 叙事的で民族的な内容という特徴がある。
 ガーシュウィンは当初「アメリカン・ラプソディ」という題名を予定して
いたことからも アメリカの民族的情緒を表現したかったのではないでしょう
か。
 歴史の浅い多民族国家。アメリカ人のルーツは決してアメリカではない。
ガーシュウィンも 父はロシア系ユダヤ人移民(父の本名はゲルショヴィチ)。
 一方 ウクライナ系ユダヤ人移民3世のバーンスタイン。

 バーンスタイン盤はそうした根無し草のメランコリーみたいなものが色濃く
あるような気がするのですね。
 あの第2のカット部分の後のソロを バーンスタインほどたっぷりとした
テンポでブルージーに弾いたピアニストは他にいるのでしょうか。

 ところがその部分 ガーシュウィン本人のピアノ・ロールでは高速で
かっ飛ばしていて にべもない感じなのですから わからんもんです…。


 実はネットで4ヶ所のカット部分があるなどという話を見て混乱し この曲
を数年前に演奏したことのある親しいピアニストに電話で尋ねてみたのですが
なんと彼女 入院中で 手元に楽譜がないとおっしゃる。

 退院後 そのことを聞いて ブログのほうに書きたいと思っております。
 カット部分についてここに書いたことの修正もあるかと思います。

 ご興味ある方は 彼女の一日も早い退院を願っていてくださいまし。

 ***

 「週刊ファルスタッフ」は 実は4ヶ月前から「隔週刊」であることの今頃
気づきました。
 Settimanale falstafffも Quindicinale に。
 「隔週刊ファルスタッフ」なんていかにも語呂が悪いですが とりあえず。

 おお 次号はクリスマスですね。ホント 時が経つのは早いものです…。
author:, category:MELUMAGA-2010-II〜, 13:43
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